忙しい日々の中で、ふと立ち止まって考えることがある。
「ありがとう」という言葉の持つ力について。
昔、飲食店で働いていた頃のこと。限られたスタッフで必死に店を回していても、お客様からは「料理が遅い」「ドリンクが来ない」と叱られることも少なくなかった。バイトの子も自分も全力で走り回っているのに、どうしても追いつかない時間帯があって。そんな時、心がちょっと凹むこともあった。
でも、そんな中でも「ありがとう」と笑顔で言ってくれるお客様がいた。一皿運ぶたびに、目を見て感謝の言葉をかけてくれる人。
特に忘れられないのは、ある忙しい日の終わり。会計をしていた時、そのお客様が「今日忙しそうだったし、大変だったよね。ありがとうね」と言ってくれたこと。
その瞬間、一日の疲れが溶けていくような感覚があった。「頑張ってよかった」と、心から思えた瞬間。
今では接客で嫌な言葉を言われても、受け流せるようになった。でも、まだサービス業で働く多くの人が、日々心無い言葉に傷ついているかもしれない。
だから思うんだ。 「ありがとう」を伝えることは、小さな行為だけど、誰かの一日を、あるいは人生さえも救う力を持っているんじゃないかって。
コンビニで、カフェで、電車の中で——。 ちょっと恥ずかしくても、心を込めて「ありがとう」と伝えることを、これからも大切にしていきたい。
自分の「ありがとう」が、誰かの光になりますように。