夕焼けを見ると、きれいだなと思う。
なぜ夕焼けが起こるのか気になって、前に調べたことがある。
どうやら夕焼けの色には、空気中のちりや微粒子も影響しているらしい。
黄砂や排気ガスのような、普段はあまり歓迎されないものが、夕焼けの美しさに一役買うこともあるという。
少しだけ汚れた空気が、空を美しくすることもある。
皮肉とも教訓とも捉えられる気がして、おもしろい。
ここ数年は健康志向が強まっていて、喫煙所は減り、お酒を嗜む人も減ってきた。
「体にいいもの」「きれいなもの」が礼讃されていくこの世の中で、もし将来、ほんの少しの汚れすら許されなくなったら、夕焼けがなくなるかもしれない。
それどころかむしろ、真っ赤な空が「美しさ」ではなく、「不健康さ」の象徴として扱われる日が来るのかもしれない。
お酒だって昔は「百薬の長」なんて言われて、少量なら体にいいと信じられていた。
そう考えれば、夕焼けの美しさまで健康の観点から評価される日が来るのは時間の問題か。
お酒なら、自分で飲むかどうかを選べるけれど、夕焼けは個人で所有できないからなぁ。
僕がどれだけきれいだと思っても、「子どもたちやご高齢の方の健康のために」と言われてしまえば、何も言い返せない。
夕焼けなぞ、無条件に美しいものだと思っていたから、油断していた。
今、自分が「きれいだ」と思って見ているものが、いつか「汚くて、不必要なもの」として片づけられてしまうかもしれない。
かといって、
「明日から夕焼けは汚いものだと思ってくださーい」
なんて言われても、「はい、そうですか」とはならない。
軽く絶望。勝手に未来の絶望を前借りしている。
そんな小さな絶望を共有したくて、これを書いてる。
ああ、健康には敵わない。
この限りある「美しい」夕焼けを、眺めるのみ。
















