霧のかかった街に
靴紐が流れるようにほどけていた
足音を揃えた人たちが
駅の階段でひしめき合う
落ちる風を読むたび
窓が温もりで曇っていく
決められた服の自分
鏡の雫に映りこむ
無表情な輪郭をなぞるほど
足元の影が色を無くしていく
隠したはずの鎖が
首元で小さく揺れて
連れ添った鞄の底で
忘れた文字が音を立てる
木陰の下で
脱いだ靴が
扉の片隅で
光の粒と舞っている
足踏みだらけの道端に
消えかけた白線が川を作る
音に沈む夜ほど
時計の針が静かに聞こえる
グラスに収まった夜明けが
透明の端で揺れている
崖を登るような階段に
道端の花びらが落ちていた
一ミリの風船が
風の塔でまた崩れて
鳴りやまない予報の隙間から
月色の空がこぼれていく
つま先の跡も
踊った息も
雲の時間の底で
オレンジの灯りになっていた
霧から覗く手のひらに
まだ温度が残っている
朝の始まりに置かれた鏡が
遅れた光を映す
寝息のひとつが
鎖の中で鼓動している





















































































